コラム

 公開日: 2016-07-18  最終更新日: 2016-08-05

隣地の建物が境界線ギリギリに建てられたときの対応

土地と土地の境目のことを境界線(または筆界)といいます。また、境界線や隣地についての定めを相隣関係といいます。基本的には民法の規定に従いますが、他の法律に定めがあるときは、そちらが優先されます。今回のコラムでは、隣地に境界線ギリギリに建物が建造されている、または建造された場合についてお話しします。

境界線からの距離

「自分の土地のどこに建物を建ててもいいでしょ」と思う方もいらっしゃると思いますが、実はそうではありません。建物の修繕のしやすさ、日当たりや風通し、そして人目などの理由から、民法では境界線より50cm以上離して建物を築造しなければならないと規定されています(民法234条1項)。ただし、地域に慣習がある場合は、その慣習に従います(民法236条)。したがって、境界線から一定の距離を離すことが原則として必要です。

民法の排除

ところが、先ほどの民法の規定が排除される場合があります。それは、その地域が防火地域または準防火地域の場合です。通常、隣家などは延焼を防ぐ目的で一定の距離を離さなければなりません。しかし、この地域では、建築基準法65条の建物であれば、民法234条の規定が適用されません。判例は、「建築基準法の規定が民法の特則である」としています。つまり、境界線から50cm以上離す必要はなく、境界線ギリギリに建てることができます。ちなみに建築基準法65条の建物とは、防火地域または準防火地域内にある外壁が防火構造である建築物をいいます。

違反建築物に対して

防火地域または準防火地域以外で境界線からの距離を守らずに建造された場合、どうすればよいでしょうか?それについて、民法では、「その建築を中止させ、または変更させることができる」と規定しています(民法234条2項)。ただし、この行為には期限があり、建築に着手してから1年を経過するとできなくなります。また、建物が完成した場合もできません。これらの場合は、損害賠償請求のみすることができます(民法234条2項)。これは、たとえ違反する建物であっても、完成した後や建築が進んでから収去させることは建築主にとって相当な負担となるので、一定の期限を設けていると考えられます。(例外的に完成後の収去を認めた判例もあります。)

ところが、上記期限内であっても、主張が認められない場合があります。それは、違反を主張する方も距離制限に違反している場合です。民法の原則に「信義則の原則」というのがあります。これは、「社会一般的な信頼を裏切ることなく誠意ある行動をしましょう」というものです。判例でも、自ら距離制限に違反してながら隣人に対しては距離制限違反を主張することは信義則に反するとして、距離制限の違反を理由に建物の撤去や慰謝料請求を基本的に認めていません。

最後に

今回は、土地の境界線と建物についてお話ししました。いかがでしたか?意外と知らない方も多かったと思います。お隣トラブルが増えている昨今、ちょっとしたことで防げるトラブルもあります。この日本で、何かのご縁でお隣同士になったのです。末永く良好なお隣付き合いをするためにも、お互いに誠意ある行動を心掛けましょう。

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